外来
外来は、前年度に引き続き、専門性を深めて応援し合える「リリーフ体制」と、治療が継続できるように他科や他部署と連携して生活支援することを強化してきました。
ハード面では「リリーフ体制」の強化です。専門性を深めて、応援し合える外来を目指しました。各科の忙しい時間、稼働できる時間帯を表にして可視化したことと、昼にリシャッフルを導入したことで、業務状況の把握や情報共有ができ、リリーフし合える環境が整ってきています。メンバーシップ振り返りアンケートでも「多重業務の時に業務を分担する」ことができている」という項目の割合が増加しており、各自がコミュニケーションを意図的に図り、メンバーシップやチームとしての意識の変化がみられました。
ソフト面では「生活支援」です。治療が継続できる生活を他科や他部署と連携して支援しました。具体的には各科で行った、カンファレンスを朝礼で報告し情報共有をしました。振り返りのアンケートでも「併診科との情報交換ができていた。少し気になったことでもスタッフや他部署間で情報共有することで長期に継続的に関わることができた」という声がありました。また、途中で、自部署の状況を客観的に評価し、振り返ってもらうことで、更にカンファレンスに対する行動意識が高まったようです。継続的に関わっているケースでは、その後の経過や変化なども報告することができました。
患者さんが在宅でも治療を続けるためには外来看護師の果たす役割は大きい
看護師の意識調査の結果、『患者の自宅での生活の注意点などを説明しているか』が特に上昇しており、これは、つねに自宅での生活を気にかけ、患者や家族に寄り添い、気になった事柄はカンファレンスをすることによって、自分にはない視点からの意見や知識などが聞け、患者へのアドバイスの選択肢が広がったことによるものです。患者が病気と付き合いながら在宅生活を継続するために、外来看護師の役割は大きいです。患者の思いに寄り添いながら、意思決定を支援するために、どのタイミングで、どこに連携したらよいのか日々考えながら患者家族と関わることを心がけています。
入院前、入院中、退院後の状態を部門連携してその人に応じた継続看護ができた事例
事例を紹介します。64歳女性Mさんは、義理のお兄さんといっしょに来院しました。乳癌を発症し、自壊していましたが、視力障害もあり自壊部の状態を十分に認識できていませんでした。すぐに入院での化学療法が決まりました。自壊部は清潔が大切なため、入浴を勧めましたが、あまり意欲的ではありませんでした。自壊の処置があるため、WOCNsへ介入を依頼し、病棟へMさんの背景や外来での関りのなかで気になったことを入院連絡表で申し送りしました。
入院中は、化学療法の副作用なく経過し、自壊部処置についても徐々に自発的な発言が見られるようになり、自壊部にガーゼを当てる動作は見守りにて行える状態で退院しました。退院時、処置に対する不安な発言があったため、病棟より継続看護依頼がありました。
退院後初回受診時には、退院してから一度もお風呂に入っていない。ガーゼも外していないという状況でした。このままでは在宅療養継続が難しい状況であり、再度意思決定支援を行いました。Mさんは自宅で過ごすことを希望されたため、MSWに介入してもらい訪問看護が導入されました。その後、自壊部の清潔も保たれ、悪臭が軽減していきました。入院前の状態を病棟に繋げ、入院中の状態を外来に繋げ、退院後の状態を他部門に繋げることで、その人に応じた継続看護ができた事例でした。
入院前、入院中、退院後の状態を部門連携してその人に応じた継続看護ができた事例
今年度の活動を通して、リリーフし合える環境が整ってきました。外来はますます一つのチームとなっています。また、外来から病棟・他部署と連携することで、患者の生活背景や価値観を共有したうえで治療が継続できます。今後も外来全体で患者の思いに寄り添い支援体制が継続できるようにがんばっていきます。