看護師の何気ない一言で

西8病棟   森川 由子

私の所属する西8病棟は整形外科病棟です。高齢者の患者様が多く、入院による環境の変化から、認知症が進んでしまうことがよくあります。
大腿骨頸部骨折で手術を受けた80歳台の認知症の患者様でADLの低下が顕著となり、食事摂取も介助が必要になった方を受け持った学生さんがいました。昼食介助の際、当初は見守りだけでしたが、スタッフから「学生さんも座ってゆっくり介助してください」とアドバイスをもらい、患者様と目線を合わせて食事介助するようになりました。すると学生さんも患者様も少し表情が緩み、このことを機に日毎に患者様と学生さんの関係は深まっていきました。食事介助も全介助から、自身でスプーンを持ち自己摂取できるように援助したり、表情がなかった患者様に笑顔がみられるようになると学生さんも目をキラキラとさせて、こちらに質問したり、新たなかかわり方の相談を持ちかけたり、積極的に実習してくれました。最初に声をかけた看護師は意図せずにそうしたかもしれません。しかし、その一言が学生さんに響いたことは間違いなく、その後の実習に影響を及ぼしました。
看護師も学生さんの看護をみています。実習中の患者様への対応を時にはひやひやしながら、時には感心しながら…。私は、実習生さんからの質問は私自身の成長の機会だと考えています。これからも、一緒に成長していきたいと思っています。