一つひとつのプロセスに根拠を持って対応し、人を看るという理解が深まった看護師の仕事

片岡芳美
私は福祉の仕事に興味があったので、介護職として働いていました。高齢者の方は何かしらの病気を抱えている方が多かったので、働いているうちに病気のことを知りたい、医療の知識を持って関わりたいという気持ちが芽生え、看護師になることを決心しました。最初の4年間は脳神経外科病棟で働きました。急性期で重症の患者さんがいる現場なので、スピード感がありとても忙しく働いているように感じていました。日常の看護は、麻痺が残り、ADLが低く、介護度が高い、介助の必要な患者さんへのケアをすることが多いのですが、病気や医療の知識を得て患者さんと関わることができるので、人を看るという力がついてきたと思います。以前の私は、「何となく元気がないなあ、調子悪そうだなあ」といった感覚で対応するしかなかったのですが、看護師になってからはいろいろな視点から患者さんを観るようになり、一つひとつのプロセスにも根拠を持って対応するようになれたと思います。看護師になろうと思った目的は果たせていると思います。

訪問看護は利用者さんに関わるだけでなく、利用者さんを支える家族を支えることも大切な仕事

今年度より訪問看護ステーションに異動になり、現在は訪問看護師として働いています。病棟にいる時は、治療が最優先で、患者さんが自宅に帰れることを目標に看護をしていましたが、訪問看護では住み慣れた場所で病気と付き合いながら暮らしていけるようにするのが仕事です。病棟のようにナースコールが鳴ればすぐに患者さんの元に行くことはできないので、看護師がすぐそばにいなくても安心して生活できるように考え、支えるのが私たちの役割です。訪問時間は30分から1時間程度で、比較的しっかりと関わることができます。また、長い関わりを通して信頼関係が深まり、その人らしさを考えて看護ができるのが魅力です。私が関わった利用者さんのなかで、余命を理解している末期がんの方がいました。自宅で残された時間を過ごしたいという利用者さんの希望を尊重し、家族は不安を抱えながらも退院されました。利用者さんや家族のペースに合わせて訪問を重ね、少しずつ不安が軽減し最期は自宅で看取られました。「家で最期まで過ごせてよかった」と涙ながらに話す家族との関わりを通して、家族を支えることも大切な仕事だと学びました。

看取りを専門分野として自分の強みにしていき、家族への看護をもっと学んでいきたい

訪問看護師として1年が経ちますが、楽しくやりがいのある仕事だと思うことと同時に、まだまだ力不足だと感じることがあります。利用者さんや家族と関わっていくなかで、アセスメント力が必要になるので、様々なことについて深く考えるようになったと思います。褥瘡やポジショニング、看取りについての知識や技術不足と感じることが多いので、まずはそれを課題として取り組んでいくことを目標にしていきたいと思っています。また、視点や視野が狭いと感じることも多く、看る力を向上させていきたいと思っています。私の職場には気軽に相談できる先輩看護師がいるので、私のアセスメントが足りていない時など、丁寧にアドバイスを頂けるので安心して働くことができています。いずれは、看取りを専門分野として自分の強みにしていき、家族への看護を学んでいきたいと考えています。