先輩たちの「ここ、できるようになったね」を糧に、仕事の楽しみを見つけていた新人時代

森川ひかり
私が看護師になろうと思ったのは母親が看護師をしていたことが影響しています。忙しそうにしていましたが、とてもやりがいを感じているように感じていました。看護師になり、希望通り外科病棟に配属になりました。しかし、仕事の大変さを実感する毎日でした。とにかく仕事の展開が速くて、着いていくのが精一杯で、テキパキと仕事をしている先輩たちのカッコよさに大きな差を感じていました。メインの仕事が手術だろうとイメージしていたのですが、例えば、術後の化学療法が必要な患者さんやターミナル患者さんもたくさんいらっしゃるので、様々な仕事があることに驚かされました。しばらくすると、ひと通りの業務はこなせるようになりましたが、看護をしている実感は新人の頃はまだまだ未熟でした。患者さんの性格や習慣、想いなどそういったことを聞き出し、引き出し、どのように関わることが大切なのか、それが大切なことは頭ではわかっていてもまだまだかもしれないと思いながら過ごしていました。ただ、辞めたいと思ったことはなく、先輩たちが「ここ、できるようになったね」と声を掛けてくれるのを糧に、この仕事の楽しみを見つけながら新人時代を送りました。

ケア前後の患者さんの反応をよく見て、必要なケアかを見極めて患者さんに向き合いたい

私は、看護をする上で大切にしていることは以下に示すように大きく三つあります。

1.ケア前後の患者さんの反応をよく見ること
2.すべてをするのではなく、何が必要なケアなのかを見極めること
3.環境整備を常に気に掛けること

一つ目は、手術前の患者さんが何に不安を感じているのか、また、手術後の傷の痛みや薬のこと、あるいは精神的な部分など、患者さんの感じ方や想いをしっかりと見て、適切なケアに繋げるようにしています。二つ目は、私たちが関わる患者さんは高齢者の方が多いので、行動がゆっくりされている方もたくさんいます。そのため、私たち看護師が代わりにした方が早く済むことは多々ありますが、退院後の自宅での生活を考えると、必ずしもそれが良いとは限りません。患者さんや家族からできるだけ自宅での生活についてお聞きすることで、そういったことの見極めをしています。三つ目は、言ってしまえば当たり前のことですが、例えば、スリッパを揃える、ゴミ箱がゴミで溢れていたら空にする、散らかった環境でならば躓かないように整理するといったことです。患者さんが安全で清潔に病院生活を送れるように、また信頼関係の構築にもつながるために大切にしています。しかし、これも二つ目の話と関わっていますが、だんだんと動けるようになった時には、その点はしっかりと見極めていくことが大切だと考えています。

人工肛門の意味を理解してもらい、着けたくない患者さんの想いに寄り添える看護をしたい

外科病棟に配属になり、5年目になりましたが、いずれは人工肛門マーキングの勉強を深めて、資格を取得したいと考えています。これは、予定手術で人工肛門をつけることが決まっている患者さんを対象ですが、マーキングをして手術します。患者さんによっては、太っている方と痩せている方でマーキングは変わりますし、性格、生活スタイル、仕事のスタイルによってマーキングについて考えないといけません。もちろん、疾患に合わせて考えるのですが、大切なことは人工肛門をつくっても患者さんが日常生活において管理ができるかどうかといった視点です。そういう意味では、患者さんとのコミュニケーションはとても大切になってきます。人工肛門をつけたい人はいませんから、その意味を理解してもらうだけでなく、患者さん自身の想いにも寄り添うことが大切になります。これまで、多くの患者さんと関わる中で、責任は重いことではありますが、こういった勉強をしていきたいと思うようになりました。今後は、手術、化学療法、ターミナルを始めとして様々な疾患についての知識も深めていき、引き続き大切にしている3つのことを磨いていきたいと思います。