迷うことなく看護の道へ

month-nurse56看護師 浜口千波
母や叔母など、看護師をしている家族の中で育った私は、物心がついた頃から「看護師になるのが当たり前」という感覚があり、中学で進路を決めるころには「将来は看護師になろう」と決めていました。高校から5年一貫教育の看護科に進学を希望した時には、15歳での進路選択に家族から不安の声もあったのですが、自らの意志を変えることなく看護科への進学を決めました。
高校は5年間ずっと同じクラスということもあり、クラスメイトと様々な経験を積み、みんなで泣いたり笑ったりしながら徐々に結束力を固めることができ、いい仲間と沢山の思い出ができました。また高校時代は5年間、無遅刻無欠席で、卒業時には皆勤賞を頂いたのですが、それが看護師になってからも頑張れる自信につながっているように思います。
私は三豊市の出身です。就職先を選ぶときには、看護師の母からの「三豊総合病院なら幅広い学びができるのでは?」という意見や、「ここは離職率が低い」という事実をもとに、生まれ育った家から通える当院に就職しようと決めました。当院には看護師体験に来たことがあり、私が初めて白衣に袖を通し、感動したことが忘れられませんでした。その時のいい記憶が、ここに就職を決める背中を押してくれたように思います。

患者さまが関わり方を教えてくれた

就職してからは整形外科に配属になったのですが、当時の私は整形外科が一番苦手な分野で「絶対無理・・・(涙)」と思ったものです。でも実際に働いたらどんどん面白くなり、整形外科での勤務はいい思い出ばかりが残っています。
今も忘れられないのは、脊髄損傷で長期に入院されていた患者さまのこと。下肢の麻痺とともに、上肢も不自由な状態で言葉もうまく話せません。看護師に訴えが伝わらずイライラされる場面も多く、ベッド柵を叩いて何度も看護師を呼ぶ方でした。受け持ち看護師だった私はどう関わればいいのか悩み苦労したのですが、時間とともに心が通じるようになり、私のことを信頼してくれるようになりました。
受け持ち当初は、何度も呼ばれるとほかの業務が滞り、私もイライラしてしまう、するとベッドサイドに行っても、私の心に余裕がないため相手の意思をうまく受け取れずに患者さまもイライラするという悪循環。そこで私が心がけたのは、常にその方に眼を向けて、手が空けば自らベッドサイドに足を運ぶということでした。「いつも気にかける」ということで、相手のニーズがキャッチできて必要な援助が見え、相手に安心感を与えるとともにお互いに心が穏やかになるのです。そんなことを教えてくださったこの患者さまには今も感謝するばかりです。

仕事が面白くてたまらない

今はICU・CCUで勤務をしていますが、勤務異動が決まった時には再び「絶対無理(涙)」と思いました(笑)。整形外科の経験しかない私には、軽度な全身管理にさえ自信がなかったのです。そんな私でしたが、心電図が読めるようになったり、呼吸器の使い方がわかるようになったり、出来ることが増えるにつれて面白さが見えてきて、今ではICUでの看護が面白くてたまりません。ここに来てからリーダー業務や後輩指導など、新たな役割を経験するようになったのも、仕事の面白さを感じるきっかけになったように思います。
最近将来を考えることも多くなってきました。看護師として、今の経験を活かして救急や集中治療のエキスパートを目指すのもひとつですが、まだまだ自分には見えていない看護のやりがいがあるようにも思います。たとえば、ガン看護や終末期など、全く関わったことがない領域があるので、まだここで専門性を決めるのではなく、もっと可能性を広げたいという気持ちもあるんです。
ただ、今はまだICUでの看護にやり残していることが沢山あるので、しばらくはここに身を置いて経験を積み、そしていつか「これ!」と決めた道が見つかれば、その時はエキスパートを目指すのもいいかなと考えています。

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泌尿器科外来 藤川貴子
幼い頃から看護に対してしっかりした思いがあり、周りの人の優しさの中で育ってきたんだなと笑顔が語ってくれているようです。就職当初は苦手な分野に配属されたんですね。
突然動けなくなったことに対する怒りや辛さを本音でぶつけてくる患者様の看護体験から、その時に感じた思いが、現在の看護に対する糧になっているなと思います。常に前を向いて、自分のできる看護を自分らしく出来る素敵なナースでいて下さい。

ICUスタッフ一同
(病棟内でのライブの会でも、涙涙で語ってくれた)この脊髄損傷の患者さんとの出会いは、浜口さんにとって一生の宝物ですね。思っていてもなかなか行動に移すことができない事が多い状況の中で、浜口さんの前向きな患者さんに対する姿勢を、私たちも見習いたいと思います。
楽しそうに患者さんのケアをする姿や、いろいろな知識を習得するため、常に自己研鑽を続ける姿から、本当にICUでの看護にやりがいを持っている事が私たちにも伝わってきます。これからも共に泣き、笑い、日々患者さんと向き合いながら看護していきましょう。