目標を立てて、先輩に相談し、学びが増えるのが楽しい新人時代

三好杏奈
看護師という仕事に興味を持ったきっかけは、小学生の時にナイチンゲールの伝記を読んだことです。看護師になろうと決めたのは祖父の入院中に看護師さんの仕事ぶりを見たのが動機です。病気を治すのが看護師の仕事と思っていましたが、祖父に対して細かいところまで身の回りのケアをし、家族である私たちにも親身になって声を掛けて下さり、人の役に立つ仕事だと確信し、その後は看護師になることを目標に勉強しました。看護師になって最初に感じたことは、技術が伴っていない自分にできるのかという不安がありました。生死に関わる仕事なので、気を張っていないといけません。相当なプレッシャーはありました。ただ、早くできるようになりたい、こんな看護ができるようになりたいという気持ちを持って仕事に取り組み、いつのまにかやり甲斐を感じるようになっていました。週初めには患者さんの顔を浮かべて、1週間の目標を立てて、大まかな計画を立てて仕事に取り組んでいました。うまくいくととても達成感を得られますし、思い通りに行かない時は先輩に相談し、なぜうまくいかないかったのか、次はどうすればいいのかを考えることはとても学びが増えるので楽しかったです。

退院前確認シートを活用し、患者さんとこれからを一緒に考える

私が目指す看護はその人らしく生きていけるようにできる看護です。患者さんはそれぞれ生きるということに対する捉え方が違います。その人の人生を考えると提供する看護も違ってくると思います。例えば、歩行困難な患者さんがいたとします。その患者さんは元通りに普通に歩けるようになりたいと希望されていますが、実際には不可能な場合もあります。そんな時でも、不可能であるとは決めつけずに、まず一緒に考えるようにしています。その人の生活スタイルを考えて、まず何ができるようになりたいかを聞き、そのためには何から始めるのがいいのかを提案し、しっかり意見交換をし、前向きに進めます。より良い提案ができるように、私は退院前確認シートをうまく活用し、患者さんの要望や気持ちを具体的に読み取ろうと工夫しています。退院前確認シートに記載した内容が具体的であればあるほど、カンファレンスを初めとした情報共有の機会で患者さんの情報が伝わりやすくなるので、スタッフ同士のいい連携が生まれ、患者さんに対するケアがうまくいくことも多いです。患者さんが喜んでくれることが一番嬉しいです。

人と深く寄り添える看護師の仕事。高いレベルを目指して磨きをかけたい

40代の脳腫瘍で入退院を繰り返されている患者さんを担当したことがありました。すでに末期で寝たきりの状態でした。家族はご主人と大学生と高校生のお子様がいらっしゃいました。患者さんは家に帰りたい、ご家族も家に帰してやりたいとということを希望されていたので、自宅で療養できるように退院支援をしました。2ヶ月の入院生活の末、退院の段階になってお亡くなりになりました。私自身も限られた時間の中で、何とか退院しご自宅にお帰り頂くことができるようにと、今振り返ると精神的に相当追い詰められた状態で頑張っていたので、かなり落ち込みました。ご主人が後日来院され、「妻は喜んでいる、ありがとう」と言って下さいました。看護師の仕事は生死に向き合う仕事なので、精神的にも大変だけれど、こうして人に深く寄り添えるいい仕事だと実感しました。この経験で課題も見つかりました。ご主人とはよくお話をしましたが、二人のお子様への関わりは薄かったように思います。もっと話を聞いてあげたらよかった、そうすれば患者さんへのケアの方法もいろいろと模索できたかも知れません。実は、家に帰りたいという希望を叶えたかったので、病室で家族の皆さんに泊まって頂きました。「家にいるみたいやね」と言葉を交わされていました。それは良かったと思います。これからもいろいろな患者さんやご家族のお世話をさせて頂くので、もっと勉強して、認定看護師や専門看護師などの高いレベルを目指し、看護師として磨きをかけていきたいと思います。