新しい副看護部長を迎えて

看護部長 森安浩子
副看護部長 大西孝子
副看護部長 池下愛子
副看護部長 守谷正美


スタッフ同士活発な意見が出るような看護を目指したい(池下)

「看護師が良いからこの病院に来たい」と思われる病院を目指したい(守谷)

2019年度が始まり、新たに副看護部長となった池下愛子さんと守谷正美さんを中心に、これからの看護部の活動について話し合いました。

―まず、新任の副部長のお二人にお聞きしますが、就任1ヶ月半が経ちますが、どういう変化を感じていますか

(池下)昨年度まで地域救命救急センターの師長をしていましたが、今年度より入退院サポートセンターの師長になりました。そして、副部長を兼任するということになりました。新しい部署の話でいうと、入院された患者さんが退院後の生活において困らないようにすることを考えながら関わっていくことが仕事です。退院調整ナース、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどと関わりながら、地域と病院をうまくつないでいくことも大切になってきます。そのような環境の中で、私は、全病棟の退院調整カンファレンスに参加しています。午前中に情報を収集し、午後からは複数の部署のカンファレンスに参加するのですが、部署の師長としての役割意識とは別に、副部長としての看護部全体を意識している部分を感じています。それは、部署によってカンファレンスの方法に違いがあることやコミュニケーションに対する意識、内容の深さなどにも差があることに気づきました。おそらく、師長としてだけの視点だと、各部署で違いがあることだけを認識し、他部署の師長としてそれにどう関わるかという視点で仕事をしていただろうと思いますが、この1か月半を振り返ると、副部長という役割を頂いたことで、看護部全体で看護の質を向上させていくにはどうしたらいいのかという視点を持ちながら各部署と関わろうとしているような気がします。
(守谷)私は、これまでと同じようにICU・CCUの師長をしています。そして、この度、副部長を兼任することになりました。副部長という役割を得たことで、部署の仕事において変化を感じています。例えば、前年度を振り返ると、部署運営においては、自分がこうしたいという方針を強く打ち出して、表現は悪いですが、半ば強引にその方向にメンバーを導くというスタイルだったと思います。組織として機能するための基礎固めを目標にしていました。だから、主任、副主任に権限を委譲することが少なかったかもしれません。ただ、1年が経ち、また、私が副部長になったこともあり、今後は、部署運営においては、主任・副主任に自主的に様々な問題に気付いてもらえるようにしたいと考えています。今年度のBSCは主任・副主任が中心となって動く必要があるので、それもよいタイミングだったと思います。一歩進んで、自主的に部署の看護の質を上げたいという思いを持つきっかけになればと思います。

―森安部長、大西副部長はお二人が就任されたことで、どういう変化を感じていますか

(大西)二人を見ていて、自分が師長をしながら副部長になった頃を思い出します。私は何をしているんだろうと日々思いながら仕事に向き合っていたことを思い出します。師長の仕事と副部長の仕事は視点も違えば、意識も違うので、頭の切り替えが大変だと思います。そんな中で、副部長の仕事も全うしてもらえるように、役割分担した仕事の中で、これまで私が担当してきたことをうまく引き継ぎながら、一緒に全体を考えていきたいと思っています。
(森安)部長、副部長が長らく同じメンバーで看護部運営をしてきたので、ある意味「あ・うんの呼吸」でお互いの意図が通じ合っていたと思います。今回、二人を看護部運営に迎えたことで、毎週月曜日に看護部会を再開することになりました。年間計画に基づいて、一つひとつの行動について情報共有して、議論し、行動に移すという基本的なことをしっかりとしていきたいと考えています。
(守谷)例えば、「これ、してください」という指示があれば、これまでは自分が担当しているところだけを見ていたような気がします。今、看護部会に参加することで、それらの意味や意図がわかり、全体を見る視点も持てるようになってきました。
(森安)二人の新・副部長は師長会での発言を聞いていても、そういう役割を意識して発言してくれていると感じています。こうした看護部としての考え方も重ねて発信し、共有し、行動もマニュアルに残し、看護部の経営の質を向上させたいと思います。

―今後、どんな看護部にしていきたいと考えていますか

(池下)会議の場でもっと活発に意見が出るような看護部にしていきたいと思います。師長会でも、意見を言わない人が多いような気がしています。決して、考えがないのではなく、それぞれに考えを持っているのですが・・・
(森安)考えがあるのに何で意見を言わないのだと思いますか。
(池下)自分の考えが否定されるのが怖い・・・要は、良い意見を言わないといけないというプレッシャーがあるのかもしれませんね。私自身、自分が発言した時に「私も、そう思う」であったり、「それ、良い考えね
」と言われることで、発言がきっかけとなり、他の人の意見の組み合わせにより、もっといい考えに結びついた経験がよくあります。みんなが思っていることを引き出したり、人と人の意見の仲介役になり、もっと活発に考えていることが言いやすい看護部にしたいと思います。
(森安)3部署ずつの師長・主任・副主任による看護管理者グループ活動を始めたのも、一つには一人ひとりの考えを気軽に出し合う風土を作りたいというのも目的の一つですね。池下さんは、今、全病棟を回っているので、会議に限らず、日常的に直にいろいろな人の意見を聞けるので、そこから良い考えを持っている人の発言のバックアップをする存在になってくれれば、看護部全体の看護の質向上に繋がると思います。
(池下)そうですね。そういうことも意識していきます。
(守谷)私は、「看護師が良いからこの病院に来たい」と思われる病院、そして看護部を目指したいと思っています。患者満足度調査というのがありまして、そういうアンケートでは医療そのものの評価は高いですが、残念ながら、看護師が来院の決め手になっていないのではないかといつも感じています。もちろん、看護師たちは日々、一生懸命頑張っていますし、患者さんも決して不満足ではないと思います。来院の決め手が、看護師であるということが数字にも明確に表れるようになると看護師のモチベーションも上がり、さらに看護の質が向上すると考えています。
(大西)そのためには、私たちがどんな看護を提供するのかということについても根本的に考え直さないといけないかもしれませんね。退院支援ということを言い出したら、退院支援という視点を持つことが大事だと独り歩きし、今では、みんながみんな退院支援と言い出しました。
(守谷)退院支援を意識するのは大事ななんですが、その一歩手前で、急性期病院の在り方としてどこに一生懸命にならないといけないのかということ、つまり、望まれる看護とは何かという本質をもっと私たちは考えていきたいと思います。
理念の一つ目である「看る力」が大切になってきますし、「看る力」とは何か、到達レベル、KPIにおいてどのような内容なのかということを共通認識する必要がありますね。

―新・副部長にどんなことを期待していますか

(大西)二人から看護部全体の看護の質の向上を強く意識してくれているので、それを一緒に実現していきたいと思います。私は、特に、原点を再認識し、理念の一つ目である「看る力」が大切だと思っています。「看る力」とは何か、到達レベル、KPIにおいてどのような内容なのかということを共通認識しながら、二人が提案してくれた考えが言いやすい風土づくり、看護で選ばれる病院づくりを一緒に目指していきたいと思います。
(森安)今年度は、「看る力」を強く意識して看護に取り組んでいきたいと思います。また、必要な情報が看護部全体に等しく行き渡るだけでなく、どういう意味があり、意図があるのかということまで伝わる組織づくりを実現したいと思います。新しく迎えた副部長はそれを自発的に十分認識してくれているので、一緒に一つひとつの課題を解決していきたいと思います。