ICU・CCU師長

若いスタッフにも積極的にアウトプットを促す
看護師長 大久保伴子

師長になって10ヶ月目。主任と師長の違い、メンバーとのコミュニケーションや関係づくり、新人の育成、そして、今後のビジョンを聞いてみました。

師長の仕事は判断することが多いのでとてもたいへんだけど、
周りの人に助けられながら、師長の喜びも経験できるようになってきた。

(森安)4月に師長になり、もう10ヶ月目ですね。想像していたのと比べてどうですか?
(大久保)想像していた以上に師長の仕事はたいへんでした(笑)。
(森安)どういう点がたいへんでしたか。
(大久保)思いのほか仕事が多かったですね。主任の時に師長代行として仕事をするときはありましたが、師長と師長代行では持っている責任の重さが違いますね。主任時代は身近に師長がいてくれるので、最終判断は師長に委ねられましたが、今は、自分で判断する機会が断然多いです。もちろん、部長や前任の師長に相談することはありますが、すべてを相談するわけにもいかないので最終判断を自分自身でしなくてはなりません。
(森安)最終判断する時、どんな心境ですか。
(大久保)これで本当に合っているのかどうか…。
(森安)しかも判断にスピードを求められるケースもありますよね。
(大久保)そうなんです。日常の業務についてはまだしも、中長期的な運営に関することになるとこれは本当に難しいですね。
(森安)例えばどんなことですか。
(大久保)例えば、医師から提案されるシステムや仕組みの変更などは、患者さんの安全面やスタッフの業務の方法なども視野に入れて考えないといけないので、簡単には判断ができないですね。皆さんに助けられながらなんとか乗り切っているという感じです。
(森安)しかし、新人の師長としてはよく頑張っていると思いますよ。
(大久保)ありがとうございます。おかげで喜びもたくさん経験できるようになってきました。

「話を聴く、事情を聴く、言い分を聴く」を心掛け、
相談される師長を目指し、メンバーが患者さんに集中できるようにしたい。

(森安)喜びも増えてきたということですが、どんな時に嬉しく思いますか。
(大久保)記憶がない患者さんが多いので、患者さんの家族からよく看てもらえたとメンバーが評価をされると自分のことのように嬉しくなりますね。また、そういう話を職場で伝えるとチームのこととしてみんなが嬉しいそうな表情を浮かべてくれることはもっと嬉しいですね。
(森安)何か師長として心掛けていることはありますか。
(大久保)はい、それは怒らないように気をつけています。
(森安)怒らない?
(大久保)はい、怒らず、叱るようにしています。
(森安)どう違うのですか。
(大久保)怒るというのは腹が立ち、感情的になることだと思います。叱るというのは冷静に、わかってもらうように話をし、意見を言い、諭すことと認識しています。
(森安)怒ったことで何か反省した経験があるのですか。
(大久保)副主任になりたての頃です。看護師として粋がっていたと自分でも認識していますが、その頃、部下に対して注意する時感情的になってしまい最終的に怒ってしまいました。その後の職場の雰囲気は最悪で、メンバーが気を使うという険悪なムードを作ってしまいました。それが今も痛みとして残っています。それから、感情的にならないように心掛けています。
(森安)メンバーとのコミュニケーションに何か工夫をしていますか。
(大久保)私は、とにかく話を聴く、事情を聴く、言い分を聴くことを大事にしています。しっかり聴いたうえで、それらを整理し、もつれをほぐして、スムーズになるように一緒に考えるようにしています。
(森安)それは素晴らしいですねえ。
(大久保)そういう風にコミュニケーションを取るようにすることで、メンバーからの相談が増えてきているような気がします。メンバーの事情を必要時は主任と共有し、メンバーが患者さんに集中しやすい環境を作るように考えています。メンバーにとってはまだまだ満足のいく環境になってないかもしれませんが、一つ一つ着実にそうしていきたいと思います。
(森安)メンバーのフォローは何かしていますか。
(大久保)メンバーがしっかり個々の患者さんを細かなところまでみてくれています。特別な介入が必要な時は家族とのコミュニケーションに気遣うようにしています。ただ、うちの職場はリーダーがしっかりしているので、私は管理に集中できるのでありがたいです。

ワンランク上のケアができる看護師集団になるために、
新人でも積極的に自分の方針をアウトプットできる職場にしたい

(森安)新人の育成はどうですか。
(大久保)私たちは「みんなで育てる!」ということを意識しています。夏前は引っ込み思案だった新人も夏を過ぎると自発的になり、自分でケアをするようになってきました。入院前、入院中、退院後を考えながらケアするようになってきています。リーダーや先輩看護師が力を合わせて育ててくれています。
(森安)これからどんな職場にしていきたいと思っていますか。
(大久保)一つは、今も実践していますが、若いメンバーがカンファレンスで積極的に自分の考えをアウトプットする機会を作り、新人も同じように発信ができるようにしていきたいと考えています。そのことで、誰しも意見が言いやすく、そして、次にどうすればいいかを話し合える、知恵を出し合える、そんな職場を実現したいと思います。
(森安)他には?
(大久保)やはり、重症患者が多いので安全重視、安全意識を高めていきたいと思います。最近は患者の層の変化が見られますが、時代の変化に対応したケア、ワンランク上のケアが可能な看護師集団にしていきたいと思います。
(森安)これからも楽しみですね。
(大久保)はい、スタッフと一緒に頑張ります。