地域包括ケア病棟師長

見える化とシンプルマネジメントで
職場をつくる看護師長 細川美奈子

kanri161201-01職場を見える化し、データを駆使して原因分析し、シンプルマネジメントを実行する。メンバーから頑張る気持ちを引き出す細川師長がこの4月に異動して約半年。これまでの奮闘ぶりと今後のビジョンを聞いてみました。

患者さんの帰れない不安を取り除くことが第一
看護師次第で療養生活のレベルを上げることができる

kanri161201-02(森安)4月に地域包括ケア病棟に異動になりましたがどうですか。
(細川)師長になってちょうど10年ですが、急性期病棟が「動」とすれば、地域包括ケア病棟は「静」ですね。元々退院支援は好きな領域で、とてもハイテンションな気持ちでこの職場にやってきました。ただ、多少の戸惑いはありましたよ。
(森安)新しい職場でまずどんなことに取り組みましたか。
(細川)4月、5月は面談をしっかりしました。地域包括ケアは国の政策ではありますが、それはともかくとして、看護師の意識次第で療養生活のレベルを上げていくことができる仕事です。その部分のやる気を引き出したいと思って面談を優先しました。
(森安)面談以外にはどんな取り組みをしましたか。
(細川)仕事を見える化しました。病棟のホワイトボードに工夫を凝らし、患者さんがこの病棟にいる推定期間の目安をみんなで共有できるようにしました。それにより、担当の看護師はその目標に向けて頑張ろうとしますし、成果が上がっていく様子は他の看護師にも良い影響を与えます。そして、それが前提としての情報共有になっているのでカンファレンスではより高いレベルの情報共有が可能になってきました。
(森安)マネジメントをする上で何を大事にしていますか。
(細川)私は原因分析をするのにデータは大切と考えており、シンプルでわかりやすい目標を立てて実行するようにしています。患者さんの帰れない不安を取り除くことを第一が大事だと思えば、それを徹底していきたいと思います。

自立を促し、教えなくても気づける看護師を、そして
アセスメントをきめ細かくできる看護師を育成したい。

(森安)ところで、メンバーの育成について聞いてみたいと思います。
(細川)これまでは、入退院は私がやってきましたが、退院については主任たちに任せていくようにしました。今後は、ソーシャルワーカーとの連携についても任せていけるようにしたいと思っています。そのためには、自立を促す育成を心掛けていかないといけませんね。退院支援について指導をしなくても自らどんどん気づくようになりますから、創造力の高い看護師が輩出されてくると思います。
(森安)身体的な看護から精神的・社会的看護のレベルもあげていきたいですね。
(細川)そうですね。そういう意味では、1、2年目の看護師にも観察視点をいくつも持ってもらいたいですし、3、4年目の看護師には業務には慣れてきたけれども、生きている人と接する上でどう接していくのが適切なのかという観点ももっと多面的に持ってもらいたいと思います。
(森安)細川師長が安心して患者さんを看てもらう看護師を育てるために何を重視していきたいと思いますか。
(細川)アセスメントをきめ細かくできるということを重視していきたいと思いますね。そうすれば、自ずと身体的な看護のみならず、精神的・社会的な看護をできる看護師が育ってくると思います。

みんながフランクに話しやすい職場をつくりたい。
「看護で繋ぐ」という意識でチームワークを発揮したい。

(森安)当院看護部の理念「看る力」だけでなく「心」「連携」を実現することができますね。
(細川)この4月から導入しているクレドトークは意外と盛り上がっていますよ(笑)。当院の理念とクレドに適う看護について看護師がトークをしてくれるのですが、反省点も出てくるし、成果も出てくるので、学びの機会になっているようですね。
(森安)クレドトーク、やらされ感はないですか?
(細川)強制的に始めましたけれど、モチベーションは下がっていません。むしろ、上がっているんじゃないでしょうか。
(森安)今後、どんな職場にしていきたいですか。
(細川)みんながフランクに話しやすい職場ですね。私はそんな環境を作るのが仕事だと考えています。
(森安)そのために何かしていますか。
(細川)クレドトークもその一つです。それと、看護で繋ぐことの大切さをカンファレンスなどで意識づけています。お互いが患者さんに対して「看護で繋ぐ」という意識を持つことでチームワークを発揮していきたいと思っています。それ以外にはパートナーシップは若い看護師にとってみる機会になり成長を促しますし、先輩にとっても指導することで意識やスキルが向上しているようです。お互いが学び合う機会となり、関係性も深まります。その結果、話しやすい環境に繋がってきているのかなと思っています。
(森安)地域包括ケアに取り組む看護の面白さをもっともっと高めていってくださいね。