がん放射線療法看護認定看護師 森 弘子

患者さん主体で治療に臨めるように

staff_expert9私は今年度、がん放射線療法看護認定看護師の資格を取得しました。この資格は、2010年に認定看護師制度分野となり、現在全国で174名が登録されています。その役割は、放射線療法を受ける患者さんが治療を中断することなく予定通りに終えるために、専門的な知識や技術を用いてサポートをしていくことです。そのためには、有害事象の効果的な予防と症状緩和のための情報提供を行ないながら、患者さん主体で治療に臨めるように支援しています。放射線治療部門で専従として勤務している人、病棟で勤務している人とそれぞれ環境は違いますが、放射線治療を受ける患者さんやご家族のために考え、努力しています。

看護師として何かできることはないかと

私ががん放射線療法看護認定看護師になろうと思ったのは、ある患者さんとの出会いでした。その方は、外来で放射線治療を受けていました。夫婦で協力しながら食事の形態などを工夫し、入院することなく治療完遂できたことなどの話を聞くことができました。話の中から、治療中に誰に相談したらいいのか分からなかったことなど、不安を抱えながら治療をしていたことが分かりました。放射線治療を受ける患者さんは、毎日短時間の治療を淡々とこなしている印象が私の中にはありました。しかし、患者さんやご家族は、がんになったこと、治療に対する不安、社会的な不安などたくさんの思いを抱えています。そのような患者さんやご家族に対して、看護師として何かできることはなかったのかと考えるようになったのがきっかけでした。
放射線療法は手術療法、化学療法と並んで、がん治療の三本柱と言われています。当院は香川県の地域がん診療連携拠点病院として、地域のがん患者さんやご家族が安心して療養ができるように、多職種が連携してサポートしています。その中で私は、患者さんやご家族に対して質の高い看護が提供できるように役割を果たしていきたいと考えています。

予測的なケアの提供ができるように

当院には、「がん看護リンクナース会」があります。ここでは、緩和ケア・がん化学療法看護・がん放射線療法看護の認定看護師が中心となって、治療経過でのケアや困難事例などを話し合う機会を設けています。また、治療期から看取りまでの切れ目のない看護ケアの提供を行なうためにリンクナース間での情報共有にも努めています。私は、自分のできることから始め、徐々に範囲を広げて活動していきたいと考えています。そしてその姿が、見ている看護師の役割モデルとなれればと考えています。 現在病棟勤務ですが、どの部署でも患者さんのケアに困ることがあれば、スタッフのみなさんや患者さん・ご家族と相談したり、予測的なケアの提供ができるよう一緒に考えていきたいと思います。