生まれ育った街で看護師に

副主任 看護師 末武ひろみ
story050私が中学生の頃、祖母が脳梗塞を発症し、右半身のマヒになりました。不自由な体で自宅療養する祖母を見るうち「私が看護師になっておばあちゃんの生活を助けたい」と思うようになりました。その気持ちは絶えることなく高校卒業後看護学校に進学したのですが、祖母は私が看護師になる姿を見ることはなく逝ってしまい、私の願いは叶わなかったのです。
祖母が導いてくれた看護師になった私は、祖母が暮らした街、そして私が生まれ育った街にある当院に就職することに。就職してからたくさんの先輩に出会いましたが、みんな笑顔が素敵で「こんな看護師になりたいな」と思える人ばかりでした。恵まれた環境で看護師として成長し、気がつけば20年以上の年月が流れ、今年から副主任の役割をいただいています。

患者さまと話す時間を大切にしたい

今は耳鼻科外来で勤務していますが、長期に関わる患者さまも多くいらっしゃいます。外来には入院中の患者さまが診察のため毎日外来に降りて来られるのですが、そんな方々に対して日ごろから心がけているのは、少しの時間でも患者さまと話をするということです。
病状について医師から説明を受けても理解しにくかったり、医師に伝えたいことを言いにくかったりする患者さまも多いので、看護師は仲介役や代弁者になれるよう患者さまのことを把握するのが役割。だから患者さまの言葉に耳を傾けることを心がけているのです。また多くの患者さまは不安な気持ちや辛い思いを抱えているので、それを少しでも吐き出すことで、楽になってもらえたら嬉しいと思っています。

自然体でスタッフのモデルになれたら嬉しい

先日、外来に菖蒲の花を活けました。菖蒲は花が枯れてもまた新しい花が顔を出し、前向きな気持ちになれる花です。ある患者さまが花の美しさに感激してくださったのですが、その方は頚動脈の近くの骨ががんに侵され、シビアな手術を控えた方でした。それでも状態は落ち着いていたので普通に会話をし、菖蒲を部屋に飾るため少し差し上げ別れたのですが、数日後、突然動脈が破裂して亡くなってしまいました。私はとてもショックを受け、改めて人の命の儚さを実感し、患者さまの時間を大切にできるよう関わりをして、もっと患者さまの役に立ちたいと思った出来事でした。
今、副主任になって思うのは、焦ったり気取ったりするのではなく、私は私らしく自然体で看護をする中で、スタッフが何か感じてくれたら嬉しいし、感じてもらえるよう努力することが必要だろうと思います。
また今年からICT(感染防御チーム)の委員にも入ったので、院外の勉強会に積極的に参加して知識を深め、現場に返していけるよう取り組みます!
やる気だけはあるので、空回りしてしまわないよう地道にやっていきたいと思います(笑)。

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外来Aチームより
今月のナースのストーリーから、末武さんが心掛けていること、それは「患者様の言葉に耳を傾けること」。外来という短い時間でも、患者様とのコミュニケーションを大切にしている姿がよくわかりました。患者様のためにそっと花を生けたり、いつも笑顔で患者様の側にいて自然な優しさと心配りがとても素敵だと思いました。