副看護部長 大西孝子
副看護部長は今年、認定看護管理者教育課程サードレベルを受講しました。
受講で学んだことや新たな気付きなどを振り返り、人材育成に思うことを話し合いました。
地域に目を向けることの必要性を痛感
森安)大西副部長には、サードレベルの研修を受けていただいています。4週間が終わり、あと2週間は残っていますが、今の思いを聞かせてください。
大西)2025年にむけて、講師の先生からは、地域包括ケアシステムに関連した話が多く、今の日本の大きな課題だということが実感できます。サードの研修では、院内にとどまらず、地域に目を向けることの必要性を痛感しました。
森安)当院は、地域包括ケアにはいち早く取り組んできました。同規模の自治体病院で、保健と福祉をつないで地域にかかわれている病院は少ないと思いますが、そのあたりはどう思いますか?
大西)地域包括ケアについて、当院は頑張っていると思います。それ以外にも、いろんなことに取り組んでいますが、それが、現場の職員に伝わっていないような気がしてなりません。もっと職員に看護部の取り組みに関する情報を伝えていく必要があると思います。
また、「頑張っている」というのは自己満足ではないか?という気持ちを持つことも大切だと思いました。頑張っているかどうかは、地域住民が判断することなので、住民の声をもっと聞くことが必要ではないでしょうか。
森安)確かにそうですね。大西副部長に、サードレベルは神戸での受講を進めた理由は、全国の看護管理者と共に学び、刺激を受けてほしかったからです。全国に目を向けると、いろんな取り組みをしている病院があるでしょう?
広い視野で考えるよう声をかけていこうと思います
大西)どこもいろんなことを考えておられるので勉強になります。
また、労務管理についても詳しい人が多く、法的根拠から考えられるように、私ももっと勉強しなければいけないと感じました。
森安)いろいろ刺激を受けているようですが、すぐにでも管理に役立てられそうなことはありますか?
大西)師長さんたちに、もっと広い視野で考えるよう声をかけていこうと思います。看護に関連するデータについて、自部署のデータを中心に考えているようですが、病院全体から自部署の位置を確かめたり、院外との比較をしたりするのも必要だと思います。
森安)そうですね。たとえばベッドコントロールの一覧表も、今はデータをつくることが目的になっているように思います。
大西)部署の情報を共有し、各師長さんが考えを伝えあえるといいのですが・・・。今は、自分が関与していない情報に関しては「あ、そうですか」と納得して終わる傾向が強いので、関与していないことにでも、自分の意見を伝える様に言葉をかけていきたいと思います。
自ら考え、学び、表現できる看護師の育成をめざして
森安)一人一人は意見も持っているのに、集団になると口を閉ざしてしまう傾向があります。もっと「意見を言ってよかった」と思える場面をつくっていくことが必要なのかもしれません。
大西)師長さんたちは「わからないことには口を出せない」という気持ちがあるかもしれません。振り返れば、私自身もそうだったように思います。病棟師長の時は、病棟の看護のことはスタッフ以上にわかっていたし、自信を持って意見が言えたのですが、手術室の師長になったときに、現場のことが何もわからず、口を出すのを戸惑いました。でも、経験を積むうちに、現場が違っても看護で考えたら何でも同じだと気づき、意見が言えるようになりました。
森安)目先のノウハウではなく「看護で考える」というように、概念的な物差しを持つよう促すことが必要ですね。今、看護のクレドをつくっていますが、それを物差しにして考えるよう促すことをすすめていきましょう。
大西)私は外に目を向けて、自部署が、自院が、どの位置にいるのかを常に考えるよう促していきます。
森安)今、当看護部では「自ら考え、学び、表現できる看護師を育成する」というビジョンに沿って人材育成に取り組んでいますので、もっと師長さんに人材育成について考えてもらいましょう。そうすることが、有効な師長育成の手段になるはずですから。