病棟で元気の源をもらっています 合田信子
森安)副看護部長と病棟師長の兼務にはメリットとデメリットがあると思うんだけど、メリットだと思うのはどんなことかしら?
合田)やらないといけない事が山積みになるとパニックになりそうな時もあるのですが、病棟でスタッフが頑張っている姿をみたり、患者さんと話をすると何だか元気になるんです。ベッドサイドが私にとって癒しの場所。そう思うと、現場を持っているというのは私にとって元気の源をもらえる貴重なことなんだと思います。
森安)そうね。看護師はベッドサイドで患者さんから力をもらうものね。またベッドサイドは直に問題が発見できる貴重な場所なので、副看護部長として病棟を持っているというのは強みよね。
合田)そうですね。病棟の現状が見えるというのは、兼務をしているメリットだと思います。データだけではなく肌で現状を感じることができるので、現場に根差して考えることができるので。
森安)私は現場から遠ざかっているので、頭で考えてしまう。だけど合田副看護部長がいるおかげで、その判断が正しいのか否かがわかるので、かけがえのない存在です。
合田)私は師長でもあるので、部長や副部長の意見に対して「それを今やるのは難しいだろう」というような師長さん達の思いもわかるんです。そんな時には「どうしたら実現可能だろう?」と、私が師長の立場で考えることが大切なんだと思っています。
師長の経験が共有できるような場づくりを
森安)ところで合田副部長は、師長さんにうまくアドバイスしているなぁと思うことがよくあります。
合田)そうですか・・・?
森安)話を聴いて、すぐ答えを出すのではなく、話している相手にしっかり考えさせるのが上手いですね。
合田)いろんなことで、どうしたらいいか悩んでいる師長が多いんです。もっと師長がこんな経験をしたっていうことを共有できたら「こんな時はこうしたらいいんだ」とわかると思うんですが。
森安)師長会では管理のリフレクションのスピーチをやってきたけれど、もっと少人数のグループで、気軽に話せる場をつくるといいのかもしれないですね。
合田)自由に困っている事なんかを出し合って、次に会った時にはそれがどうなったかを伝え合ったりする場があれば、師長たちの自信にもつながるんじゃないでしょうか?
森安)「こんなことがあった」という事象レベルで終わるのではなく、どのように考えてどんな行動をしたらどうなったのかという事を伝え合う場があれば、経験知が積みあがっていきます。そのためには、ただ話す場を設定するだけではなく、目的を理解して意図的にリードする人が必要ね。
「待つ」ということを重視しましょう
合田)そうですね。深く考えることが大切ですものね。
病棟でも、スタッフに考えさせようとするのですが、時間がなくてつい答えを言いたくなるんです。それってみんな同じだと思いますが「待つ」という事の大切さも師長同士で話し合っていかなければいけないと思います。
森安)つい指示したくなるのよね。その方が早いし楽だから。でもそれでは人は育たないということを師長さんと共有することが大切ね。みんな本当に力を持っているのだから、その力を惹きだすために「待つ」ということを大切にしていきましょう。
合田)看護の現場も昔はもっと自由だったように思うんです。自由に発想し、エビデンスも考えず「とにかくやってみよう」として先輩に注意されたり(笑)。「こうしたい」という発言がしやすかったけれど、最近はそれを躊躇するスタッフが多いようです。
森安)考えて行動できる看護師を育てるというのが当看護部のビジョンでもあり、考えるという機会をもっともっと増やさなきゃね。
合田)スタッフには、報告・連絡・相談で終わるのではなく、提案がほしいと言い続けているんです。どうしたいかを考えるのが難しければ、どちらにする?と選択肢を与えて、行動は自分で決定するような働きかけをしています。
森安)それはいいことですね。これを機に「スタッフの意見を待ちましょう」というのを師長会の中でも話していきましょう。
合田)そうですね。考えて行動できる看護師を育てるために。