看護の魅力は、患者さんに最も身近な存在で、多職種に対しても連携の架け橋になれること

柿久保 唯
私は幼稚園に通う頃この病院で入院した経験があります。その頃から、おぼろげに看護師を意識していたと思います。高校生の頃、改めて人のお世話をする仕事をしたいと思い、両親の薦めもあり看護師になりました。しかし、実際に看護師になると覚えることがたくさんあり、仕事に追われる毎日を過ごし、悔しさに涙することの連続でした。しかし、次第にできることが増え、患者さんのことを考える余裕が生まれてくると楽しくなってきました。新人なのですべてを要領よくできるわけではないので、自分にできることを探して、患者さんが喜ぶ姿を見て、一つひとつ階段を上ってきたと思います。今、8年目ですが、看護の仕事の魅力は、患者さんに最も身近な存在で、そのため多職種に対しても連携の架け橋になれることだと思います。患者さんとのあいさつに始まり、観察をする中で、異変を含めて気づきがすべての始まりです。気づきによりアセスメントを拡げることができるので、患者さんの状態が良くなるための援助がしやすくなります。援助の方向性が見えると、リハビリについて、退院支援についてもより具体的になるので、身近な存在である看護師の仕事は大きな意味を持っていると実感しています。

患者さんの示すサインを逃さず、ケアの道筋に創意工夫を重ねることを大切にしていきたい

そういう意味では、やはり、気づきを最も意識して仕事することが大事だと思います。そこで、患者さんが発信することを逃さないことが大切だと思います。顔を見る、目を見る、動きを見る・・・おかしいなと感じたら、検温し、頭から足までよく観察するという風に患者さんの示すサインを逃さず、そこからケアの道筋に創意工夫を重ねることを大切にするようにしています。看護部のホームページの三つの豊かな看護の実践のコーナーで掲載されている「患者さんの想いを聴き、状況に応じたケアを提供する」での経験は、私にとって大きな経験でした。ターミナル期に担当したので、様々な対応をしましたが、亡くなることがわかる時点での患者さんやご家族とのコミュニケーションの難しさという壁にぶつかりました。お声掛けそのものが難しいのです。何と言えばいいのだろう、何を話せばいいのだろう・・・。亡くなる前の患者さんは恐怖心で一杯だろうし、家族は亡くなる時には立ち会いたいが、やはり不安はぬぐい切れない。訴えを聞くことができる、何が一番しんどいのか、辛いのかを表出してもらえるようになることが課題であり、それに対して適切にコミュニケーションができるようになりたいと思うようになりました。

ターミナル患者の家族の精神的なケアを通じて、家族との連携ももっと考えていきたい

実際、西7階病棟では、ターミナルの患者さんが増えてきているので、もう少し自分たちにできることは何かということについて考えていきたいと思っています。私自身は、疲れを抱える家族の精神的なケアを通じて家族との連携ももっと考えていきたいと思っています。それと、新人指導を通じて指導力の向上も目指したいと考えています。世代の違いもあるのか、私がイメージしたとおりに成長しない場合もあり、自身の指導の方法に問題があるのだろうかと考えてしまうこともあります。患者ファーストを意識することを基準に、それぞれの行動について報告をしてもらい、課題に対して早期介入をしながら育成に励みたいと思います。その他、高校生や看護学生に当院の看護を伝える会の一員として活動してきましたが、まだ看護師になっていない高校生や看護学生に看護を伝えること、また、異なる職場にいる会のメンバーと一緒に課題解決をするプロセスを通じて自身の看護についての再考する機会となり、看護の視点や視野が拡がりました。ますます、看護に磨きを掛けたいと思います。