小さな心遣いが信頼関係の基盤

140930story看護師 宝利綾子
「将来は人の役に立つ仕事がしたい」そんな夢を持っていた私は、看護師をしている母を見て「看護師もいいかなぁ…」と思うようになりました。高校2年の時に祖父が手術を繰り返すことがあったのですが、その時看護師さんの仕事に触れ、看護は人生の節目にある人の役に立つ仕事だと実感して看護師になる意志が固まっていきました。
大学3年で本格的に実習が始まったころ、ある患者さまから大きな学びをいただきました。急性期看護の実習で受け持たせていただいたその患者さまは、小腸を切除され、術後イレウスを起こされたりして術後の経過が良好ではない方でした。学生の私が一人で出来ることといえばベッドサイドの環境を整えることくらいだったこともあり、訪室ごとにスリッパの向きやごみ箱の位置を整えたり、布団や寝衣を整えたりしていました。苦痛そうな患者さまでしたが、学生の私を受け入れて、拙い手技のケアを快くさせてくださったことには感謝するばかりでした。
その方は回復し、私は実習が終了するという最後の日、患者さまは私にこんな言葉をくださいました。「手術でしんどい時にもあなたにケアしてもらったのは、身の回りを整えることを自然にやってくれたから。そんな態度が患者との信頼に結びつくんだよ」と。
些細な心遣いが看護にとっては大切であり、それが信頼関係を築く基盤になることを教えていただいたその言葉を、今も忘れないようにしています。

当院のよさは「温かさ」だと思う

三豊総合病院に就職を決めたのは、実家の近くだからという漠然とした理由だというのが正直なところです。しかし、当院の緩和ケア病棟に祖父が入院した時に残しれくれたのが「ここの病院にいてくれてありがとう」という言葉。その言葉を聴いて「あぁここの病院を選んでよかった」と心から思いました。当院のよさは「温かさ」であり、そんな温かい病院で働けることに今はよろこびを感じています。
就職後は急性期の病棟に配属されたのですが、ここでも忘れられない患者さまとの出会いがたくさんあり、それが学びにつながっています。
1年目のころに点滴を失敗し、何度も痛い思いをさせた患者さまから「もうあの看護師は担当につけないでほしい」と言われたことがありました。それはショックだったのですが、このままではいけないと、先輩を見て学び、出来ないと逃げるのではなく積極的に練習して頑張ったのですが、その方が再入院された時には「点滴もうまくなって成長しとるやないか」と言っていただき、とてもうれしかったことは今も忘れられません。

これからの目標は幅広い学び

また、退院後にわざわざ会いに来てくれた患者さんもいらっしゃいます。その方は、すい臓がんで術後の経過が悪く、長期入院を余儀なくされて精神的にも不安定な方でした。私が初めての夜勤の時、その方を担当したのですが訪室したら不安な気持ちを話し出され、新人だった私は話を遮ることが出来なくて、1時間ほど話を聴かせていただきました。他の患者さまも看なければいけない立場を考えると、それが最良の対応だったとはいえませんが、患者さまの不安な気持ちを吐き出す援助につながったようで、その後、退院してからも私を覚えていてくださり、会いに来てくれた時には、思わず嬉しくて泣いてしまいました。
それ以外にもたくさんの患者さまから多くの学びをいただきながら経験を積んできました。そして今は化学療法を受ける患者さまをサポートするリンクナースの活動をしています。これからの目標はこの領域の知識を深めるとともに、もっと幅広い知識を身につけるということ。全般的にいろんな科を経験し、様々な患者さまと出会うことで、その看護を通して学びを広げていきたいと思っています。


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西4病棟師長  細川美奈子
宝利さんは、外科病棟に勤務して3年目になります。私とは、1年6か月一緒に仕事しています。いつも、「おはようございます・お疲れ様・大丈夫です・すいませんができないのでお願いしてもらっていいですか」と気持ちの良い挨拶・返答ができるナースです。3年目になると色々な責任も重くなっていますが、正確な看護をきちんと実践しようとする強い気持ちが日々の姿勢から伝わってきます。とても頑張り屋さんなので、今年担当している化学療法リンクナース・調査研究等の役をしっかりこなして、チームにより良い影響を与えてくれることを期待しています。