緩和ケア病棟 看護師長

緩和ケア認定看護師として病棟管理 佐藤愛子(緩和ケア認定看護師)

当院の緩和ケア病棟は、香川県で最初にできた緩和ケアです。長年「緩和ケア認定看護師」として病棟運営に力を注ぎ、今は師長として病棟管理をしています。

管理者のあり方に迷っているのが本音です

森安)師長になって3年目ですが、最近の心境はどんなものでしょう?

佐藤)主任とは違って病棟をまとめる責任とともに、香川県で最初にできた緩和ケア病棟の責任者ということで院外での役割もあり、今やっていることが「これでいいのか?」と迷うことも多いです。緩和ケア認定看護師という役割とマネジメントの役割が異なるのは分かっているのですが、自分の中で線引きができず曖昧になっている気がします。どうしたらいいのか迷っているのが本音です。

森安)どんなところが一番の悩みかしら?

佐藤)緩和ケア病棟の看護のレベルを上げるのが私に課された課題だと思っているんです。そのためには人材育成が重要で、スタッフに対して専門的な知識や対応のスキルを上げるために取り組みを考えていますが、それだと認定看護師としてやってきたことと同じなんですよね・・・。では管理者の目線で、スタッフをどう育てていけばいいのかを考えるとなると、その線引きが難しくて。

森安)佐藤師長さんは、緩和ケアのレベルを上げることを今年の目標に挙げていたものね。目標に対してどのように行動して達成に向かおうとしているの?

佐藤)看護はマニュアル通りにいかないことが多いので、困難だった事例を振り返って、個別に応じた看護を考える力を育てたいと考えています。けれども困難だと感じた事例がなかなかそれが出てこないんです。たとえば、訴えが少ない患者さんがいらしたら、患者さんの困っていることが把握できずに困難だと思うんですが、看護師自身は困難と感じていないので問題には挙がらないんです。

もっと看護師同士で話し合わなければ

森安)訴えていないので、困難事例にならないわけだ。目に見えない問題は、こうして見過ごされていくのね。これは緩和ケア病棟に限った事ではなく、どの部署でも同じかも知れないわね。アセスメントツールを書き込むだけでは見えてこない問題点を、もっと看護師同士で話し合わなければいけないことがわかります。

佐藤)そうなんです。だから話し合えるよう問題提起しても意見が出てこない場合もあるので「ここはどうなっている?」「ここを見ていかなくちゃ」と、どうしても私が先に言ってしまうんです。それがダメなんだろうなと思うんですが・・・。

森安)認定看護師ということで、誰よりもよく知っていて、先のことまで見えてしまうのが管理の上では辛いところなのかもしれないわね。自分がすべて先頭を切っていると人材育成はむずかしい。一度に全て出来る人を育てることは無理で、この人にはこれを任せよう、ここはこの人なら出来そうだ・・・と、パーツで捉えて、みんなが集まってひとつになるよう考えることが大切じゃないかしら。

佐藤)私が先に言いすぎているんでしょうね・・・。だからスタッフが十分に考えられないのかもしれません。スタッフを信じているんですが、待てないのが私の弱点だと思いました。

あまり考えすぎないことが大切

森安)「話し合うように」と言っても師長さんが全て知っているというスタンスではスタッフも話し合いにもなりにくいのかも。患者さん、ご家族の今の状況を把握するために、看護師だけでなく他職種からの情報や考えを集約するための話し合いをするということでは?

佐藤)そうですね。むつかしいですね・・・。カンファレンスの場でも他職種との調整をすることはもちろんですが、管理者としてどう対応したらいいのかをじっくり考えてみようと思います。

森安)あまり考えすぎないことが大切よ。とにかくやってみる。やってうまくいかなきゃ変えてみればいいだけよ。

佐藤)わかりました。まずはやってみることが重要なんですね。

森安)まずは仕組みとして考える。カンファレンスの持ち方を変えてみるとか、うまくいっていないものには、その方法自体を変えたらいいのかもしれないです。まずは師長さん自身の立ち位置を変えることから始めたらどうかしら?

佐藤)何だか自分の課題が見えてきたような気がします。まずは行動してみます。

森安)そうそう!やってみましょう(笑)。


緩和ケア病棟 看護師長” に1件のフィードバックがあります

  1. staff00 投稿作成者

    勤務移動で南2病棟に配属され、この1年森師長とともに病棟目標に向かい取り組んできましたが、スタッフが働きやすい環境を整えていくのを近くで見させていただきました。時代は育児、家事、介護など女性だけの仕事ではなく、夫婦で共同するものとなってきました。看護職を長く続けていく上で、男女を問わずワークライフバランスは大切だということがわかりました。

    南2病棟看護主任 笘篠圭祐

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