南4階病棟 看護師長

健康に役立つ話をする会を定期開催 長野小百合

当院では、”みとよサプリ”~薬じゃないけどちょっとからだにいい話~と題して、病院を訪れる全ての人を対象に、健康に役立つ話をする会を定期開催しています。長野師長はそのイベントを発案し、軌道に乗せてくれました。

“みとよサプリ”は職員のエンパワメントにつながる

森安)”みとよサプリ”のイベントを始めたのは平成24年の夏でしたね。随分定着してきたけれど、これを始めようと思ったきっかけはどんなことだったの?

長野)全国の国保学会に行ったとき、シンポジウムで村づくりの話を聴きました。その話は、過疎化が進む村に人を呼ぶために、まずは村の魅力を知ってもらうことからはじめようと、住民を巻き込みながら取り組んだというお話でした。
それを聴いて、当院ももっと多くの住民に当院の魅力を知ってもらうために、何か出来ないだろうか?と考えたんです。

森安)そうだったのね。外来には1日1000人近い患者さんが訪れるけれど、”みとよサプリ”は、診療を受けると同時に当院が持っているパワーを地域の人達に知っていただくいい機会になっていますよね。
でも、初めから順風満帆というわけではなかったでしょう?

長野)苦労したということはないんですが、多職種をどう巻き込むかが難しいと思うことはありました。看護師だけではなく、様々な職種の力を借りたいと思うんですが、協力を要請しても「何を話したらいいですか?」と、受身であまり意欲を感じないことも多くて。でも、実際やってもらうと表情が変わり「もっとこんな話をしたらよかった」というように前向きな発言に変わるのが嬉しいです。

森安)準備段階ではイメージができなくて不安があったり、面倒だと思ったりすることもあるだろうけれど、実施したら受け手の反応から手応えを感じるし、自信にも繋がっていくんでしょうね。そういう意味では、”みとよサプリ”は地域貢献だけではなく、職員のエンパワメントに繋がっていると思いますよ。

長野)参加してくれる患者さんも、ただブラーっと来てくれていると思っていたんですが、毎回これを目的に来院しているという方がおられてびっくりしたし、感激しました。地域の人たちも”みとよサプリ”で情報を蓄えてエンパワメントして欲しいし、職員もそうなれば嬉しいですね。

森安)組織のエアンパワメントは「創造」「適応」「維持」「発展」という段階を追って発展していくそうだけど、”みとよサプリ”は、組織に定着してきて「維持」の段階に来ていると思っています。これからの発展が楽しみですね!
ただ、この営みを発案した看護師がマネジメントして多職種に協力を求める形は継続しないと、責任の所在が不明確になって維持することが目的になり、発展に至らないと思うのよ。

長野)そうですね。手を離すのではなく、上手く多職種と連携していくことが必要ですね。そうしてもっとこのイベントを充実させていきたいです。

スタッフの「自分たちで頑張った」という意識が大切

森安)長野師長さんは、病棟管理のうえでも新しい発想で業務を改革していく人だと思って見ています。今年4月から完全なパートナーシップを始めて、最初は少し不安だったけれどやり遂げて、今ではもう定着しているのですごいなぁと思っているのよ。

長野)とにかくやってみたら、何とかなるんじゃないか?と思ったんです。自分が正しいと思うことはみんなに伝え、理解さえしてもらえたら後はスタッフが支えてくれるだろうと。これは、みとよサプリの経験が活きたのかもしれません。

森安)みとよサプリを立ち上げたことが、自信になってチャレンジ精神が高まったんでしょうね。

長野)個人の自信というよりは、組織に守られているんだという実感を持つことができ、その安心感が背中を押してくれるのかもしれません。

森安)日頃はどんなスタイルで管理をしているの?

長野)私は方向性は示すけれど、その方向に動いているなら、あとは口を出さないようにしてるんです。「みんながいいならいいかぁ」という気持ちで、日ごろは何も言いません。「それは違うんじゃないか?」と思う時だけ口を出しますが。

森安)そうなのね。その姿勢がスタッフの自発性を育てているんでしょうね。自分たちで考えることで、やる気にもつながるし、成功したら自信も芽生えて組織力が高まっていくもの。

長野)「みんな頑張って出来たよね!」とスタッフたちが互いに讃えあってるんです(笑)。そんなときは「えっ!あたしも頑張ったんですけど・・・」と寂しくなります(笑)。でも、「みんなが良ければそれでいいか」と思うんですけどね。

森安)そうよ。スタッフが「自分たちでやったんだ」という気持ちになるのは、管理にとっては大成功なんだから(笑)。
ところで、長野師長さんの、これからの課題はどんなことかしら?

「看護を魅せる」看護サービスが課題

長野)先日、個室の設備に小さな不備があったんです。小さなことだったのでそのままにしていたら、ある患者さんが「個室は特別なお金を払っているのだから、総室と同じような感覚ではダメなんじゃないか?」という助言をくださいました。その時「特別なお金を払っている」という言葉にハッとしたんです。スタッフは「お金をもらっている」という感覚で仕事をしているんだろうか?と。

森安)「患者さんからいただくお金に見合った看護サービスになっているか」をスタッフが意識してケアしているか不安だということですね。

長野)そうなんです。先日、劇団四季のライオンキングを観に行き、感動して帰ってきたんですが、劇中は感動させるために様々な演出があり、払ったお金は惜しくないという満足感がありました。これって看護も同じなんじゃないかと。
お金をいただいている以上、患者さんを感動させるような看護サービスが必要であり、それって「魅せ方」への努力も必要なんじゃないかと思ったんです。

森安)そうよね。同じケアをするにも、言葉かけや立ち振る舞いで、相手に与える印象が全然違うもの。それで患者さんが魅せられたらフィードバックを返してくださる。それが看護サービスをさらに高める原動力になるのよ。

長野)そうですよね。その循環をつくるにはどうしたらいいのか・・・が、更なる私の課題ですね。

森安)そうなのね。では経過報告を楽しみに待っていますよ(笑)