西7病棟 看護師長

最近重圧を感じ始めています 植松由美子

森安:師長になって2年目が過ぎようとしているけれど、だいぶ慣れてきたかしら?

植松:1年目は必死にその日をこなすという感じでしたが、2年目になってから責任を感じるようになった気がします。そして最近は日々重圧を感じています(笑)。
森安:2年目の面接で「怖さが出てきた」って言ってたでしょう?1年目のころは主任の延長だったけど、2年目になって師長の自覚が生まれてきたんだろうなって思っていたのよ。

植松:そうかもしれません。同じ病棟で主任から師長になったので、責任を感じているつもりでも、気持ちは主任の延長線にあったのかもしれませんね。

森安:どんなことに一番重圧を感じる?

植松:患者さんからクレームをいただくときでしょうか。クレームというのは、患者さんが教えてくださっていることなので、ありがたいと思っているんです。だから出来るだけ意見を聞かせていただくように心がけているのですが、スタッフの行動すべてが「私の責任なんだ」と思うと、肩にズシっと重圧が・・・(笑)

スタッフへの“伝え方”に悩みます

森安:そうなんだ。で、クレームに対してはどう対処しているの?

植松:それが困るんですよね・・・。「当事者の看護師にどう言えば伝わるだろう?」って悩みます。私の言い方によって傷つけたらどうしようと思うんです。

森安:では、どんなふうに伝えているの?

植松:先日、ある患者さんが、A看護師の対応が悪いと言って来られました。名指しだったのですが、私はみんなの前で誰とは言わずに「こんな意見をいただいた」と伝えたんです。自分で気が付いてくれたらいいなと思って・・・。

森安:私なら、みんなの前で言う前に個人に伝えるわ。事実として淡々と、「○○さんからこんな言葉をいただいたんだけど、心当たりある?」と聞くかな。私は事実確認することを優先するよう心がけているんだけれど。

植松:そうなんですね・・・。私は相手の心を読みすぎるのかもしれません。どう言おうかと悩めば悩むほど自分の中で大きな問題になって益々言いにくくなってしまう。

森安:スタッフの事を考えてくれている証拠だからそれはいいことよ。でも問題が大きくならないようにストレートに事実として伝えることも大切ではないかな?それでその看護師さんは自分で気付いたの?

その人に応じた対応が大切

植松:はい。みんなの前で話してからしばらくたって私のところに来て「それは私の事です」と言ってきました。患者さんの事を考えていったことなんだけれど、意図を伝えなかったばかりに誤解が生じてしまったと、とても反省していました。

森安:植松師長が、その看護師さんは自分で気付いて反省できる人だと思ったから、みんなの前で伝えようと意思決定したのかもしれないわね。

植松:そうなんでしょうか(笑)。その看護師は、私に言いに来る前に患者さんとご家族に謝りに行っていました。そして、その患者さんは私にお礼を言いに来てくださって・・・。
言葉足らずがもたらした問題だったので、今後同じことが起こらないように、口に出さないと相手には伝わらないという事を病棟で確認し合いました。

森安:それはうまくいったじゃない。ストレートに伝えることもいいと思うけれど、時にはそうしないほうがいい場合もあるものね。今回は本人が自ら気づいて、言われないうちに自分で対処したことで成長につながった事例だと思うわ。

植松:言われて謝りに行くのではなく、自分で気が付いて謝りに行ったことを褒めてあげたいと思いました。

森安:そんな事例を積み重ねながら、管理の質を高めていくことが大切ね。ストレートに言われて成長するタイプの人や、自ら気づいて伸びていくタイプの人、いろいろなスタッフがいるものね。こんな経験を留めておくのではなく、師長全体で共有してほしいな。

植松:そうですね。師長同士、こんな話をする時間を作っていくことが必要かもしれませんね。

経験を一般化させていきましょう

森安:普通はこうだけど、こんな場合はこうしたらうまくいった。そんな事例を一般化させて、師長のスキルアップにつなげていきましょうよ。

植松:そんな風に、病棟の中でも体験を伝え合うことが大切なんでしょうね。

森安:そのとおりね(笑)。だって植松師長の病棟の課題は、“メンバーが若い”ってことだったじゃない。若いことを強みにしてほしいけれど、若さゆえ経験知が乏しいとも考えられるんだから、経験を一般化して積み上げていかなきゃね。

植松:そうですよね・・・。セカンドレベルの研修で一番心に残っているのは「管理とは人を活かすこと」という言葉でした。スタッフたちを育てていかないといけないなぁと実感して帰ってきたので、頑張らないといけないですね(笑)。

森安:植松師長なら大丈夫!いつも動いていて一生懸命っていう印象があるもの(笑)。

植松:そうですか?もう少し落ち着くことも心がけます(笑)。