西7階病棟 師長x主任対談

師長 佐藤愛子・主任 伊東早苗
西7階病棟師長の佐藤愛子さんと主任の伊東早苗さんに管理の仕事、人材育成、職場づくり、これからの抱負などを聞いてみました。

伊東早苗主任

佐藤愛子師長

森安浩子部長


自分で判断すること、
一人で負わなければならないことが増えてきた(伊東)

(森安)伊東さんは、主任になって1年目ですが、以前と比べて変化は感じていますか。
(伊東)責任が重くなったという実感はありますね。副主任の時はどちらかというとスタッフの感覚で師長や主任への報告していたような気がします。師長がいない時にそう感じるのですが、病棟全体のことを知らないと判断できないこと、一人で負わなければならないことが増えてきましたね。
(森安)一人で対応しなければならないこととはどんなことですか。
(伊東)検査を嫌がる患者さんと担当している看護師の間に入って事を進めたり、医師との交渉に行き詰まっている看護師のフォローをしたり…副主任の時もそういうことはありましたが、今は、スタッフという意識はなく、師長を補佐できる管理者としてしっかりしないといけないという気持ちです。
(森安)佐藤さんは師長になって6年目ですよね。
(佐藤)最初の3年は緩和ケア病棟で、この3年は消化器病棟ですね。師長になる前も緩和ケア病棟にいましたので、異動した時はやっていけるのかなと不安でしたが、しっかりとしたスタッフがいましたので、何とか支えてもらいながら乗り越えました。
(伊東)私も、新卒でこの病院に就職してから16年間手術室に勤務していましたので、今の職場に不安でしたが、先に来られていた佐藤師長から「大丈夫よ!」と励まされ、メンバーからの丁寧なフォローもあり、この職場で頑張れたのかなと思います。
(佐藤)確かに業務的な部分に違いはあり、覚えなければならないこともたくさんありますが、基本は看護です。患者さん目線で何ができるのか、何が必要なのかを考えて関わることは変わりません。伊東さんの努力もあり、今、一緒に働き甲斐のある病棟づくりをしていきたいと心強く思っています。

問題が起こる前に予測できる
看護師を育成することが最優先(佐藤)

(森安)ところで、人材育成についてはどのように考えていますか。
(佐藤)患者さんを取り巻く背景が単純ではなくなってきていること、私たちも入院から退院後の生活も視野に入れて看護をしなければならなくなってきていることを考えると教育や指導をするのもひと工夫必要になってきていますね。
(森安)具体的にどんなことでしょうか。
(佐藤)例えば、指導されたことをそのまま鵜呑みにするのでなく、掘り下げて考えてみる。問題が起こってから考えるのではなく、予測して仕事をする。予測するためには、日常のケアや情報の共有の重要性を意識する。患者さんに対してその人らしい看護をするために、業務を効率的にする工夫をする。こういったことを意識づけていき、習慣化していくことを大切にしています。
(伊東)佐藤師長は全体を考えられていると思うので、その中でも、私は、リーダーの育成を意識するようにしています。3年目くらいからリーダーを任せられます。初めてリーダーをする人は単にフリーになり他のスタッフのサポートをするだけでなく、やはり全体を見なければならないわけです。そういう経験をすることにより仕事の質は向上していきます。
(森安)リーダーとはどういう人と考えていますか。
(伊東)全体を見ることができ、信頼される存在だと思います。信頼できる人は相談されます。相談しても仕方ない人には相談しませんよね。そして、相談されたことに対してフィードバックをしてあげることがリーダーだと思います。そうすれば、リーダーによって職場のコミュニケーションが進み、職場は元気になっていくと思います。
(森安)退院支援はうまくいってますか(笑)。
(佐藤)一連の流れはできているのですが、少し複雑化すると仕事のスピードが落ちるのが課題ですね。
(伊東)受け持ちの患者さんに対してもっと関わりたいと思っていても、現実的には治療を意識するので、もう少し踏み込んでどう関わっていくか工夫をしていく必要がありますね。きちんとスクリーニングシートでチェックはしていますが…。
(佐藤)患者さんとの関わり方も複雑になっているので、本当に大切なことですが、忙しい中でもしっかり聴きだせるスタッフもいますが、個人差は否めないので、最低限の水準を上げていきたいと思います。
(森安)スクリーニングシートも膨大なチェックを見逃さないようにするのが仕事になり、看護する上で大事なことが何なのかをわからないようにしている部分はあるのかもしれませんね。入院中の看護が、退院後の生活に繋がる。それが私たちの看護であるということをみんなと共有していきたいですね。

「看護が楽しいな」
と感じることができる余裕が持てる職場にしたい(伊東)

「あんな看護師になりたい」
という看護師を輩出できる職場にしたい(佐藤)

(森安)さて、今後、どんな職場にしていきたいですか。
(伊東)「看護が楽しいな」と感じることができる余裕が持てる職場にしたいですね。余裕というのは、看護が語り合える中で、ホッとできたり、笑顔がこぼれるようなことですね。今、師長や私がいる時に退院支援のリフレクションとして、月に2人ずつ話してもらっています。みんな、初めは「えー、私ですか⁉」と少し引き気味ですが、実際に患者さんとの関わりについて話すと興味をもち、メンバーもしっかり聴いているので、この機会が、看護の楽しみを共有できるホッとできる機会になっているなと感じています。
(森安)先ほども言いましたが、退院支援が看護そのものだから、みんなも話しているうちに、また、聴いているうちに嬉しくなってくるんだろうと思います。
(佐藤)若いスタッフが私たち先輩を見て「あんな看護師になりたい」という看護師を輩出できる職場にしたいですね。そのためにも、業務は業務としてではなく、しっかりリアルタイムでその意味づけをし、これも看護だという意識を持って仕事に取り組んでもらえるようにしたいと思います。私は、メンバーに役割と期待を提供して、「私にやれるのかなあ」という不安を、しっかりサポートしながら「私にもできた」という達成感を感じてもらい、どんどん成長支援をしていきたいと思っています。
(森安)私もお二人に役割と期待を提供して、さらなる飛躍を楽しみにしています。