西5階病棟師長

メンバー同士の「お互いさま」を大切にする看護師長 西谷美智世

kanri-160630-01東日本震災の時は医療支援に、今回の熊本地震の時はDMAT(Disaster Medical Assistance Team)として災害現場においても活動をしている西谷師長。この4月に異動となり、新しい職場での抱負や管理職としての経験や考え方を聞いてみました。

災害に備え、私がいなくても仕事が回る職場づくりを心掛けたい。

kanri-160630-02(森安)西谷師長はこの4月に異動し、2週間経った頃に熊本地震が起こりました。新しい職場を任されてすぐにDMATとして熊本で活動されましたが、そういう中でいつも考えていることや師長として活かしていることを聞いていきたいと思います。
(西谷)大きな災害が起きたときはいつでもすぐに行くぞという気持ちの準備はしています。ただ、現実には病棟を預かり、日常の仕事もありますし、家族もいます。そういう意味では、普段から私がいなくても仕事がうまく回る病棟づくりを意識しています。今回も、主任に経緯を話して、すぐに行きました。
(森安)4月に異動してきたばかりで、メンバーをしっかりと理解できていない時期だったと思いますが、職場を離れる不安はありませんでしたか?
(西谷)はい、不安はありませんでした。私自身が主任や副主任にいろいろと教わっている状態ですから(笑)。
(森安)具体的に言うと、メンバーのどういう姿を見て、任せられると判断できましたか。
(西谷)異動して今の職場に来た時の最初の印象は、メンバーが患者様のことを一番に考えて一生懸命に働いている姿でした。そして、全体を見ながら仕事をしている主任やリーダーの姿を見て、少しの期間、離れることになっても大丈夫だなと判断できました。何よりもホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができており、情報の共有がうまくいっていることがその判断材料になりました。
(森安)情報の共有がうまくできていないと、直接師長が関わらなくてはならないことが多くなり、仕事がうまく回らなくなりますよね。
(西谷)はい、それは助かりました。もちろん、どの病院でも、病棟でも組織として活動しているからには課題がないわけではありません。私自身も新しい職場の課題があることは承知しています。しかし、今回のような大きな災害があり、数日間、職場を離れるということについて言えば、自分がいなくても仕事が回る職場づくりを普段から意識していきたいと思います。

「任せる」ということは「待つ」ということ。
メンバー一人一人の成長を常に気にかけていきたい。

kanri-160630-03(森安)ところで、自分がいなくても回る職場づくりを心掛けているということですが、いつ頃からそういうことを意識するようになりましたか。
(西谷)今から10年ほど前に外科外来の主任として仕事をしていたことがあります。メンバーには2人の看護師がいました。私は、診察の段取りに始まり、主な業務を自分が抱えてやっていました。自分がやった方が早いという気持ちでやっていましたが、外来がうまく回っていない状態だったわけですね。その姿を他の科の先輩が見ていたんです。たぶん、その人から見たら、職場がギスギスしているように見えたのかもしれませんねえ。「主任がいなくても仕事が回るようにしないといけないよ」と言われたんです。それでハッと気づいたんです。
(森安)自分の流儀にこだわるのではなく、気づいたのが柔軟ですね。
(西谷)それがきっかけとなり、任さないといけない、そのためには待たないといけないと思うようになりました。自分が先んじてするのではなく、現場の看護師が仕事をしやすいようにしないといけないと思いました。
(森安)でも、すぐにはうまくいかないでしょう。
(西谷)ラッキーなことにメンバーの看護師はよく考え行動できる人だったので、役割分担をし、困った時には話し合うことで、うまくいったように思います。
(森安)その後も、たくさんの職場を任されてきたと思いますが、必ずしも思い通り動いてくれるメンバーばかりではないと思います。そういう人への指導はどうしていますか。
(西谷)この経験が一つの成功体験になったと思います。その後いろいろな職場を任されてきましたが「待つ」ということを軸にメンバーに接してきました。人それぞれ得手・不得手があり、強み・弱みがあります。成長に時間がかかる人もいます。そういう人にも常に気にかけるようにしています。できるだけマメに声をかけ、自分で考える機会を与え、うまくいけば評価しながら接するように心がけています。

「お互いさま」の気持ちを持ち合える楽しい職場を作っていきたい。

(森安)さて、西5階病棟師長として、どんな職場を作って行きたいと考えていますか。
(西谷)楽しい職場にしていきたいと思います。楽しいというと様々な捉え方をされるかもしれませんが、私たちの仕事はやはり大変な部分も多いので、職場のメンバー同士がお互いさまという気持ちを持って、助け合い、支えあわないと仕事がうまく回らないと思っています。助け合い、支えあうことで仕事に対する達成感や充実感が生まれますし、このメンバーと一緒に仕事をできる喜びも生まれてきます。私の言う楽しい職場というのはそんな職場ですね。
(森安)逆に楽しくない、辛い職場ってどんな職場なんでしょうね(笑)。
(西谷)自分の仕事だけやればいいのでしょって感じで、メンバー同士が関わり合わない、相談しても聞いてくれない、孤独感が溢れている・・・私は、絶対にそんな思いをメンバーにさせたくありません!
(森安)ワークライフバランス推進チームとして、ワークライフバランスにも積極的に取り組んでくれていますよね。
(西谷)若い人も、独身の人も、家庭がある人も職場にはいるわけですよね。休みがしっかりと取れるのも、単に制度があり、権利があるからというレベルではなく、お互いがお互いの事情も理解しあえるような、ホントにお互いさまという気持ちを持ち合えるような職場にしていきたいと思っています。
(森安)今日はありがとうございました。西谷師長の職場づくりが楽しみですね。