感染管理認定看護師 高尾 悟

集中治療室と感染症

staff_expert10私は昨年、感染管理認定看護師の資格を取得しました。現在ICUのスタッフナース兼任で業務に携わっており、専従の感染管理認定看護師と協働し、院内外で実施される研修の講師やリンクナース活動の調整などを行っています。集中治療室内では、主に現場での院内感染防止・拡大予防について対応しています。集中治療室は、怪我や疾病などにより生命の危機に瀕した患者さんが入院してくることが多い場所です。その患者さんが更に院内感染してしまうと、疾病と感染症治療で入院期間の延長に繋がるばかりでなく、予後へも影響を与える恐れがあります。このため、特に抵抗力の低下した患者さんが多い集中治療室での院内感染は絶対に防ぐ必要があります。

簡単そうで、できないこと

院内感染対策の原則は、『手指衛生』や『汚染された(と思われる手指)で、それ以外の場所に触れない』ことです。これらは容易に実践出来ると思われがちですが、集中治療室という場所は、多量の医療機器や薬剤などを使用することに加え、患者さんが緊急を要する事態に陥ることもあり、この原則を常に徹底することは困難な現状があります。その中で私は感染管理認定看護師として、サーベイランスや感染に対する相談対応、現場の環境整備・調整などを行っています。耐性菌や各種感染症対策の勉強会も行っていますが、必ず最後には『手指衛生』や『手指衛生を行うポイント』の重要さを説明しています。まだまだ定着に至った実感はありませんが、スタッフから「以前より手指衛生や、環境の汚れに気を使うようになった」等の言葉が聞かれるようになり、嬉しく思っています。

その他の活動について

また地域の感染対策の一環として、他施設と連携し定期的なカンファレンスの実施や、合同勉強会等へ参加しています。他施設の感染対策従事者との会話を通じ、自施設にもフィードバックできるアイデアを吸収していきたいと思っています。
これらの活動を通じ、院内で働く職員や患者さんのみならず、地域住民の皆さんが安心して来院できる病院づくりに少しでも貢献できるにように、日々努力していきたいと思います。